田口塾の西口です!
今回は、「メタ言語能力って何?」というテーマで書いていきたいと思います。
メタ言語能力について、論文などに書かれているような形ではなく、より簡単でわかりやすい文章で説明していきたいと思います。
メタ言語能力とは?
メタ言語能力とは、言語を意識して観察する能力です。
「意識して観察」というのは、日本語に関してであれば、以下のような観察と言えます。
- 「は」と「が」はどちらも主語を表すけど、少し意味が変わるなぁ。
- 「食べる」「遊ぶ」などの動詞は、ほとんど必ず文末に来るなぁ。
- 「これ」「それ」「あれ」の順番に遠くなっていくけど、区切れ目はどこなんだろう。言う人の感覚で決まるのかもしれない。
言語は普段、意識せずに自然に使っているので、こんなことはあまり考えませんよね。
しかし、このようにあえて言語を意識し、観察ができる能力のことを「メタ言語能力」と言います。
メタ言語能力はなぜ重要?
メタ言語能力はなぜ、どんな時に重要なのでしょうか?
その言語をより正確に、深く理解できる
メタ言語能力があると、読む・書く・聞く・話す時に、より正確にその言語を使えるようになります。
例えば、「は」と「が」の使い分けについて意識できているかどうかで、適切な表現ができるか否かが変わることがあります。
学校の先生が生徒の保護者に対して、生徒が部活動に一生懸命に取り組んでいることを伝えたいとしましょう。
その時、
「◯◯さん、部活動に取り組む姿勢はすごく良いですよ。」
と伝えたらどうでしょうか。
無意識に「姿勢は」という言葉を選んだかもしれませんが、保護者はもしかしたら、
- 頑張ってはいるけど成果は出ていないということなのか?
- 部活動は頑張っているけど、勉強はイマイチということか?
と思ってしまうかもしれませんよね。
「部活動に取り組む姿勢がすごく良い」と伝えれば、そのような疑念は起こらないはずです。
このように、「は」と「が」の使い分けが言葉の意味を変えるなぁ、と気付いていること、つまりメタ言語能力があれば、伝えたいことを誤解なく正確に伝えることができるのです。
外国語を学ぶ時に役立つ
メタ言語能力があると、母語以外の言語を学ぶ時にも役立ちます。
なぜなら、学びたい言語を母語と比較することで、その言語の文法を理解しやすくなるからです。
例えば、「~の」という意味の「of」について学ぶことを考えてみましょう。
「the end of this century」を日本語訳すると、「今世紀の終わり」となりますよね。
ここで英語を日本語と比較してみると、英語では「the end」つまり「終わり」が先に来るのに対して、日本語では「今世紀」が先に来ます。
これに気付くことができると、「『of』が出てきたら、日本語とは逆の順番で書かれていることに注意して読まなければならないんだな」と理解できます。
これを意識できない人だと、「the end of this century」と出てきた時に「終わりの世紀?」と誤訳してしまうのです。
このように、学びたい言語と母語を観察して、意識的に比較する能力は、その言語の習得においても非常に重要なのです。
余談ですが、この「of」の訳し方の間違いで多いのは「35 percent of the students」といった、割合を示す表現ですね。
「その生徒たちのうち35%」と訳すのが正解ですが、「35%の生徒」と誤訳してしまい、母集団(「その生徒」の部分)を捉え間違える人が多いように感じます。
メタ言語能力を鍛えよう
以上が、メタ言語能力とその必要性についての説明でした。
小さい頃から鍛えられていれば世話ないですが、何歳からでも身につけられる能力なんじゃないかなと思うので、ぜひ意識的に鍛えてみてください。
田口塾の西口でした!