【創作問題】千葉大園芸学部(緑地環境)後期小論文(第5弾)

小論文
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田口塾の西口です。

千葉大学園芸学部(緑地環境学科)の後期の二次試験は小論文ですが、対策のための材料が少ないので、似せた問題と模範解答を作成してみました。

受験する方は、第1弾からご参考いただけると嬉しいです。

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問題

次の文章を読み、以下の問いに答えなさい。

気候モデルの開発と温暖化予測への貢献

 コンピューター上で地球全体の気候をシミュレーションする「気候モデル」の計算プログラムは、気候変動の問題を議論するうえで欠かせないものになっている。二酸化炭素の排出量が今のペースで続くと100年後の地球環境はどうなるのか。異常気象の発生にはどの程度人為的な経済活動が関係しているのか。こうした問いに答えようとしても、全球規模の気候の変化を実際に実験することは不可能だ。コンピューターの中にもう1つの地球環境を作りだし、そこで様々な条件のシミュレーションを繰り返しながら観測結果と比較することで、初めて私たちは気候変動を定量的に分析できるようになる。真鍋氏は1964年に気候モデルの基礎を確立し、その後数十年をかけてモデルの発展に尽力してきた。また、ハッセルマン氏は観測された地球温暖化が人間の経済活動のせいで起こったのかどうかを評価する統計的手法を開発した。

 気温は高度によって大きく変化する。地表の平均温度は15℃だ。上空に行くほど空気の温度は下がるが、高度10000m以上の成層圏になると一定になり、さらに上空では再び上昇に転じる。しかし1960年代当時、どうしてこうした大気の温度分布が起こるのかはまだよくわかっていなかった。

 真鍋氏らは1964年の論文で、大気が水平方向には均質だと仮定し、地面から上空までの鉛直方向の温度分布を調べる気候モデルを考案した。このモデルでは、太陽の熱や地面から放射された熱が大気の中で伝わる過程に加え、大気の対流やCO2による熱の吸収などを計算に取り入れた。その結果、真鍋氏らの気候モデルによるシミュレーション結果は実際の大気の温度分布を正確に再現した。さらに大気中の気体の成分を変えてシミュレーションを行うことで、成層圏で上空ほど気温が高いのは、オゾンの太陽熱吸収が関わるためだと明らかにした。

 また、真鍋氏らは1967年に大気中の二酸化炭素の濃度を変えたシミュレーションを行い、CO2の濃度が2倍になると約2℃気温が上がることを示した。1958年には米スクリップス海洋研究所のキーリング(Charles Keeling)氏らがハワイで大気中のCO2濃度の連続観測を開始しており、当時既にCO2濃度の増加は実際の観測で明らかになりつつあった。岡山大学教授で、気候モデル研究に取り組んできた野沢徹氏は「CO2が増えた時に気候にどんな変化が起こるか、そのエッセンスを非常にうまく取り出した、画期的な研究だった」と説明する。

 1970年代以降、真鍋氏らは一次元だった気候モデルを三次元へと拡張。さらに海洋の影響を加味した気候モデルも開発した。

  また、ハッセルマン氏は同時期に、気候モデルのシミュレーション結果と実際に起きた地球温暖化の観測結果を突き合わせ、その温暖化が「人間の経済活動の影響が無ければ起こりえないものであったかどうか」を判定する統計手法を開発した。

 CO2の濃度上昇で温暖化が起こっており、そこには人間の行動が影響しているという見方は、気候モデルや経済活動の影響を調べる統計手法の精度が高まるなかで、研究者の間で次第に揺るがないものとなっていった。このことが1988年の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の設立や、その後のさらに精緻な気候モデルの研究の原動力となった。真鍋氏は1990年のIPCC第一次評価報告書の執筆責任者の1人となっている。

 ノーベル物理学賞に環境科学の分野が選ばれるのは初めてだ。今年8月に公表されたIPCC第6次評価報告書の主執筆者の1人である国立環境研究所地球システム領域副領域長の江守正多氏は、「気候変動の議論の基になっている科学が、物理学として基礎づけられたものであるということが社会に伝わるきっかけになる」と話す。

 真鍋氏らの最初の論文から半世紀以上がたった今も、気候モデルは発展中だ。衛星観測技術の向上で、現実の観測から得られるデータは以前より解像度が高まり、その種類も増えてきた。微小な塵が核となっている雲の振る舞いなど、依然としてシミュレーションが難しい要素もある。現実の地球環境と合致する、より精緻な気候モデルの研究が続けられている。

出典:

2021年ノーベル物理学賞:気候変動モデルの構築と温暖化予測で真鍋淑郎氏ら2氏, 乱雑でフラストレーションがあるシステムの解明で伊パリージ氏に – 日経サイエンス

2021年ノーベル物理学賞:気候変動モデルの構築と温暖化予測で真鍋淑郎氏ら2氏, 乱雑でフラストレーションがあるシステムの解明で伊パリージ氏に - 日経サイエンス
2021年のノーベル物理学賞は地球規模の気候変動モデルを構築し温暖化予測に貢献した米プリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎氏とドイツのマックスプランク研究所のハッセルマン(Klaus Hasselmann)氏,複雑系におけ … 続きを読む →

問1

本文下線部①「『気候モデル』の計算プログラム」について、気候モデルの計算が可能になることにはどのような意義があるか。本文をふまえて200字以内で説明しなさい。

問2

本文下線部②「人間の行動が影響している」とあるが、人間のどのような行動が地球温暖化に影響を与えているのか。また、その影響を小さくするためには、どのような対策が必要か。100字以内で説明しなさい。

問3

本文下線部③「ノーベル物理学賞に環境科学の分野が選ばれるのは初めて」とあるが、環境問題はさまざまな学問の視点から研究され、解決されうるといわれている。環境問題の解決に貢献する可能性のある学問を物理学以外で一つ挙げ、その学問がどのように環境問題を解決しうるのか、400字以内で説明しなさい。

模範解答

問1

気候モデルの計算が可能になることには、大きく2つの意義がある。まず第一に、計算によって、二酸化炭素を今のペースで排出し続けた場合地球の環境や気候はどのようになるのか、という長期的な予測を立てることができる。そして第二に、気候モデルの計算は、地球温暖化や異常気象の発生に対して人間の経済活動が影響を与えているのか、またその影響がどの程度のものであるのか、ということを明らかにする。

(189字)

問2

土地開発のための森林伐採は、二酸化炭素を吸収する植物を減少させる行動であるため、地球温暖化の一因になっている。これを防ぐ対策の一つは、政府や自治体がより多くの森林を保護地区として定めることである。

(98字)

問3

 現代における問題解決にはSNSの活用が有効であるため、SNSが人々の行動に与える影響について研究する社会学は、環境問題の解決にも貢献しうる。

 SNSの特徴は、一個人が世界へ発信できることと、それにより協力者を集め、大きなムーブメントを起こせるということである。このことは、政府や自治体によって重要視されていない問題を社会に広め、対策を開始させる可能性を持っている。例えば高校生1人でも、近所の川でのポイ捨ての酷さについてSNSで発信すると、それは拡散され、多くの人がポイ捨てをする人を非難するようになるだけでなく、自治体がポイ捨て防止策を強化する契機となるのだ。

 社会学としてSNSと環境問題の関連性をみる際には、SNSの性質や利用者の心理、SNS上の発信から社会が動いた事例などを調べたうえで、どのようにSNSを使えば環境保護活動を広めることができるかを研究する必要があると考えられる。

(395字)

より詳細な解説や、ご自身の書いた小論文の添削をご要望の方は、ぜひお気軽に田口塾へお問い合わせください。オンライン指導も可能です。

以上、田口塾の西口でした!

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