田口塾の西口です。
コリン・ファースへのリスペクトが止まらず、彼が俳優としての人気を確固たるものにしたと言われているドラマ『高慢と偏見』(英語名:Pride and Prejudice)を観ました。
全6話で構成されているのですが、1話ずつ振り返っていき、最後に全体としての考察を書きたいと思います。
※ネタバレを含みます
第1話
わかってはいたけど映像が古くて驚きました(笑)今みたいに編集が緻密じゃなくて、ストーリー展開が少し粗いから、舞台を見てるような気分になりました。
ダーシーのリジーを見つめる瞳が美しすぎて…!!
ダーシーがリジーの瞳に輝きを見出したのは、内面的な美を感じ取ることができる人だったからだろうなと思いました。
人のために行動する力、慎ましくも芯のある態度、知性、そういう内面的な美は、瞳に表れてくるものなんだと思います。
本人がそういうものを大切にしているからこそ、他人にもそれを求めるのかなと感じました。
あと突然のダーシーご入浴シーンは最高でしたwww
第2話
コリンズ氏のプロポーズの時にはっと気付いたのですが、このドラマでは口数の多い人は滑稽に描かれていて、口数が少ない人ほど聡明な印象を持たせていますよね。
もちろん現実でもそうとは限りませんが、表面的な口数の少なさによって内面的な豊かさや思考力が強調されて、その逆も然りという描写はすごく面白いなと思いました。
また第2話になると、本格的にリジーの偏見を形作っていく「噂」が登場してきます。この噂をめぐってのリジーと周囲の考えもまた面白いですね。
できればダーシーとくっついてほしいと思ってしまう視聴者側からするとダーシーへの悪評をちゃんと否定してほしいものなんですが、ビングリーもビングリーお姉さんも「ウイッカム本人のことはよく知らない」などと言って、リジーにとっては反論の根拠にならないんです。だからリジーの中では、ウィッカムが良くてダーシーが悪いとなってしまう。
それを偏見と呼ぶのか判断と呼ぶのか…
ダーシー本人からのコメントに期待ですね。
第3話
ダーシー!!!!!!
これまでほとんど動じないキャラだったのに…コリン・ファースの動揺の演技がここで発芽……!!!
最高です
第3話では、第2話から引き続きなんだけど、偏見とか、確実じゃない楽観的なことを言ってしまったりとか、そういうリジーのネガティブな面が強調されてきたように感じました。第1話ではリジーはわりと否のない描かれ方だったのに、第3話までくると視聴者が少しもどかしくなるくらい、未熟な面も出てきていますね。
その面を出していくために、「人はそれぞれなのよ」と偏見で判断しないお姉さんや、分別のあるお父さんを描いて、リジーと対比させているんだろうなと思います。
そしてダーシーの変化がここで大きく見られましたね!
これまで以上に積極的にリジーの前に姿を表していて、気持ちの高まりが伝わってきました。しかも今までだったら「人について行って、そこにリジーもいた」という状況がほとんどだったのに、今回は自分からリジーに近づいていっていました。
リジーがピアノを弾いている時に、初めて少し笑顔も見せましたね。
それから、ダーシーのプロポーズが、コリンズ氏のプロポーズと正反対だったことがとても印象的でした。
ダーシーは「家柄にも良識にも反するとわかっているけど、愛情を抑えられない」と伝えたのに対して、コリンズ氏のプロポーズは「家柄や令夫人のために」という主旨のもので、自身の愛情についてはほとんど言及しませんでした。
お金や立場ではなく愛を大切にしたいリジーにとってはダーシーの考え方のほうが合っているのに…と思ってしまう視聴者ですが、ここから2人の仲がどう進んでいくのかが楽しみなところですね。
第4話
フェンシングダーシーもびしょ濡れダーシーも最高でしたね!!!
克服を誓う熱いダーシー、リジーがお屋敷を訪れた時の愛想のいいダーシー、お屋敷を案内してくれた家政婦が話す幼少期からのダーシーなど、ダーシーの様々な面が見えてきました。
リジーのウィッカムに対するセリフでも、「ダーシーの本質は変わっていない、でも印象が良くなったのは、自身がダーシーのことをよりよく知ったからだ」と言っています。
リジーが徐々にダーシーに対する偏見を取り払っていく段階に入ってきましたね。
ダーシーは、リジーの前では世間話が下手なのに、一緒にいたご夫婦に対してはすらすらと挨拶ができる。そんなところも、ダーシーの表面的な不器用さと内面的な美しさのギャップにリジーが気付いていくタイミングの一つかなと思います。
あとは、リジーがダーシーかウィッカムのどちらかしか善人になれないと考えているのに対して、お姉さんのジェーンはどちらも善人だと思いたいっていう部分がすごく面白かったなと思います。長女ジェーンの仏のような祈りと、次女リジーのもしかしたら偏見の混ざっているかもしれない現実的な考えが、コントラストになっていたように感じました。
リジーはジェーンのように全く偏見を持たない人ではなくて、むしろ自分の考えをもとに他人を批判することもあるけれど、そんな彼女がダーシーや周囲に今後どう接していくかに注目したいですね。
第5話
まさかのリディアウィッカム問題が勃発で、その件で1話分終わってしまいましたね。
リジーがダーシーに避けられたと思っている一方、ダーシーは人混みの暗い中頑張ってリディアウィッカムを探しに行き、居場所を突き止めたと想像すると、ダーシー最高すぎる…!!
あんなクールな顔して言う時は言うしやる時はやるっていうギャップが良いですね。
視聴者はまたリジーの誤解をときたくてもどかしくなってしまいます(笑)
最後に真実が明らかになった時の2人を早く見たいですね。
第6話
めでたい!!!
絵に描いたようなハッピーエンド!!
リジーとダーシーは結ばれるだろうと信じていましたが、まさかジェーンまで結婚できるとは思ってませんでした!
ダーシーが高慢だったことを認めて、リジーも自身の偏見が間違っていたことを認めて、無事ゴールインとなりましたね。
リジーがジェーンにいつから好きだったのかと聞かれて、「お屋敷のお庭を見た時からかも」と冗談混じりに言っていましたが、あれは結構当たっている気がしました。たしかにその前から少しずつ心が動いてはいたものの、はっきりと魅力を感じたのはあれが最初だったかなと思います。
人が第一印象の悪さを覆して誰かを好きになる時って、その人に対して「良いかも」と判断するための、いろんな角度からの判断材料が必要だと思います。第4話で様々な面を見せたり、リディアウィッカム問題を解決したりと、ダーシーの努力がたくさんの判断材料をリジーに与えていたのは確かなんですが、意外と現実主義で社会的地位も欲しくないわけではないリジーにとっては、あのお庭やお屋敷や財産も、大きな判断材料になっていた気がします。
また、令夫人に対しても、どんな偏見を持たれたとしても「自分は自分」という態度を貫くリジーも、ダーシーと通ずるところがあってまた良いなぁと思いました。切り返し方からも聡明さが伺えて、自分を見失わない堂々としたリジーがいましたね。
あと個人的には、リジーの結婚をお父さんが認めて額にキスした時の、お父さんの表情にグッときてしまいました。
リジーが嫌っていた相手を愛して結婚に至るというのは幸せで、成長も感じるし、姉2人が良い家柄のところに嫁げるなんて素晴らしいこと。残される側としては寂しいけど、自分は見守ってやるしかない。そんな全てを語る目をしていました。演じたのはBenjamin Whitrow。お父さんはだいたい俯瞰的で落ち着いていて、お母さんと2人してキャラが立っていましたよね(笑)
全体を通して
『高慢と偏見』というタイトルの通り、ダーシーが高慢さ(Pride)を捨て、リジーが偏見(Prejudice)を覆すことによって、全てうまく収まるという話でした。
それでは、ダーシーはなぜ高慢さを捨てられたのでしょうか?
それはやっぱり、本人も最終話で話しているように、初めてリジーにプロポーズした時に「あなたは紳士的ではない」と遠回しに言われ、”紳士的”とはどうあるべきなのか、リジーにとって愛される自分はどうあるべきなのかを真剣に考え直したからだと思います。
そういう意味では、それまでは人にどう思われようと自分は自分、という態度だったダーシーが初めて「人に気に入られたい」と思った経験だったかもしれないなと思いました。
ダーシーにとっての”Pride”の意味合いが、地位の高い者らしく自分を貫くことから、大切にしたい人を大切にできる自分でいることへと、変化したのですね。
フェンシングのシーンは、フェンシングができるようになること自体が重要だったわけではなくて、高慢な自分に打ち勝ちたいというダーシーの葛藤を表現していたように見えました。
そうした努力に加えて、本来ダーシーが持っていた利他性をリジーのために惜しまず発揮したことで、リジーの偏見も覆ったわけですね。
それにしても、自分の愛する人に振り向いてもらうために、自分の弱さと闘ったり行動したりするダーシー、魅力的すぎません!?
そりゃリジーも視聴者も惚れるよね…!
最初のほうのキツめの視線と、徐々に見せていく愛のこもった視線と、少し気を抜いてリラックスしているときの目と、どれも微妙に使い分けていくコリン・ファース、このドラマでスターの座を確立させたのも納得です。
尊敬の念です。ありがとうございました。
単純にキュンキュンするラブストーリーとしても楽しめるし、それぞれの人間模様を深く観察して楽しむこともできる、このドラマは本当に観てよかったです!
コメント
[…] 衣装に負けない表情や、『高慢と偏見』の序盤を思い出させるような高慢な立ち振る舞いで、真正面から役を演じているように思いました。 […]
[…] コリンをスターたらしめた『高慢と偏見』、それに続く大人気作品『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズ、受賞作品である『シングルマン』や『英国王のスピーチ』などなど、コリンは代表作ではたいてい”お堅い”役を演じているんですよね。序盤から鮮やかな笑顔を連発するような役はあまりなくて、後半から徐々に素敵な笑顔が垣間見えてそれが魅力的っていうキャラが多いと思います。 […]
[…] コリンの代表的なドラマ『高慢と偏見』のマークをはじめ、コリンはこういう役が本当にハマりますね。 […]
[…] マーク・ダーシーは、コリンがスターの座を確立したと言われる『高慢と偏見』というドラマに出てくる「ダーシー氏」をモデルにした人物で、ダーシーという名前も、コリンが演じているという点も全く同じです! […]