【創作問題】小論文/順天堂大学スポーツ健康科学部公募推薦(第7弾)

小論文
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田口塾の西口です。

順天堂大学 スポーツ健康科学部の公募推薦を受ける受験生向けに、過去問の傾向に合わせた小論文の問題を作成しました。

小論文は対策材料を集めるのが大変だと思いますので、ぜひご活用下さい。

解説が必要な方、添削をご希望の方はぜひ田口塾へお問い合わせください。

問題

[設問]

下記の課題文は、学校法人蓮光学園パドマ幼稚園によって公開されている『運動と学力は相関する。脳の実行機能について』というタイトルの記事の全文である。これを読み、運動が子どもの発育においてどのような役割を果たしているか、文章からわかることを書きなさい。加えて、現代の子どもたちの運動量が減っていることのリスクとその対策について、あなたの意見を記述しなさい。

(700字以上800字以内、60分間)

[課題文]

 運動と体育の意味の違いっておわかりになりますか。運動は全身を楽しく動かすことで、体育は健康や体力増進のための教育をいいます。

 当園にも体育の先生がいますし、体育レッスンがあるのですが、しかし、小学校のような科目として体育を考えているわけではない。幼児教育とは生活教育ですから、たとえ屋内にいても、机の上の活動をしていても、広い意味で運動あそびに親しんでいるわけで、当園の場合は、その活発度がきわめて成熟しているのだと思います。

 ところで、毎日体を動かすと脳が発達するといったら、意外でしょうか。「脳=知力=勉強」という公式が出来上がっていて、体育は脳とは別、という思い込みが少なくありません。しかし、脳科学が発達してきた現在では、運動が学力向上と相関関係にあることが明らかにされています。

 早稲田大学のスポーツ科学学術院講師の紙上敬太先生は、大学のウエブサイトで「運動は子どもの脳を育てる」という小論を発表されています。要約するとこうなります。

 「脳には学力と密接にかかわる〈実行機能〉と呼ばれる高次脳機能があり、ここでは目標を達成するために思考や行動をコントロールする機能を扱っている。具体的には論理的思考、計画性、問題解決能力などが含まれるが、過去5年以上に渡る研究によって、運動量・体力が子供の実行機能に関わっていることが明らかにされてきた。つまり、これらの研究では、体力が高い子供ほど実行機能が優れていることが示されている」

 専門的な話は省略しますが、運動が子どもの意欲や心情を形成しているのであって、それはけっして健康や体力にとどまるものではないというのです。たとえば当園のように、毎日体育ローテーションがあって、さらに朝礼、日課というような運動の組み立ては、子どもの脳の発達に適っているということでしょう。しかも実行機能は、学力に対してだけではなく、将来の精神的・身体的健康、QOL(生活の質)、仕事上の成功、円満な家族生活など、私たちの生活のありとあらゆる面に対して重要だと考えられているのです。

 今や、都会、田舎の区別なく、子どもの運動量の減少は深刻です。私のような「原っぱ世代」と違い、テレビやゲームなど室内のあそびが主流、親御さんもインターネットとスマホでは、相当意識しないと、毎日の運動はむずかしいのかもしれません。

運動がしっかりできていないから、集中力がなく、落ち着きがない。小学校に上がって、先生の話が聞けない、授業中、立ち歩くという事態はじつは運動不足による問題でもあるのです。 もちろん、基本はたのしくみんなであそぶということ。心の充実こそ、運動効果が上がる最適期です。

 実行機能とはすなわち心の充実をいいます。仏教で言う「心身一如」(心と体の育ちは切り離せず、密接に関連しながら育ち合っている)の真意を、改めて思い知らされました。

[出典]

運動と学力は相関する。脳の実行機能について – パドマ幼稚園

模範解答

 運動が子どもの発育において果たす役割は、脳の実行機能を発達させるというものである。脳の実行機能を発達させると、心が充実し、自身をコントロールできるようになり、社会生活の中で適切な行動が取れるようになる。

 現代の子どもは運動量が減少していると文中にも言及されているが、そのことにはどのようなリスクがあるのだろうか。それは、先に述べた脳の実行機能が未発達となり、結果的に社会性や知力の発達が遅くなるということであろう。これが学力の低下に繋がり、日本全体の子どもたちの学力レベルが落ちてしまうことになる。また、自身のコントロールがうまくできなくなる点に関しても、学校における授業運営の妨げになりかねず、いわゆる「荒れている」学校が増えてしまうことも考えられる。よって、子どもたち自身、日本の将来、教育現場など様々な観点からも、この子どもたちの運動不足による悪影響は深刻であり、対策が必要である。

 対策として考えられることの一つは、市区町村や自治体、学校が、子どもたちが運動するための場所を維持・増設することである。例えば地域の公園では、遊具を増設したり、子どもたちが安全に走り回れるよう地面を整備したりすることが挙げられる。また、そうしたローカルな取り組みを継続的に行えるよう、国が各地方行政を支援する仕組みを作るべきである。加えて、子どもを育てる保護者が運動と脳の実行機能の関わりを知り、子どもに運動をさせることのメリットを感じていることが必要である。よって、妊娠中や産後すぐの時期に、子育ての知識として産婦人科医からレクチャーをすることも有効だ。

 このように、外で運動できる環境を整え、かつ最も身近な大人が運動を推奨することで、子どもたちの運動量は増えると期待できる。ただし、現代のこの状況の中でこれらの取り組みを本当に実行するには、実行者の強い当事者意識と粘り強い意志が最も重要になるだろう。

(797字)

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