田口塾の西口です。
前回の続きです↓↓
見知らぬ人にクレカを貸した話
クレカを使わせてほしいとせがまれました。
「私は女1人だし、あなたがどんなに良い人でも、安全のためにそれはできない」
「現金を多く君に払うし、操作は全部君がやってくれればいいから!俺は君のクレカには触れないから、俺の分のチケットを君のクレカで買って!頼む!君に損は何もないだろ!?」
何度も断りましたがどんどんヒートアップしてきて怖くて、早くその場を終えたかったのと、本当に損はないように思えたので、仕方なく券売機で買ってあげることにしました。
券売機を見ると本当に現金を入れるところはなくて、クレカ専用の券売機でした。現金で買える窓口も探せばあるでしょと思いつつ、クレカを差し込むと、「このカードはご利用いただけません」とエラーが出てしまいました。
2、3度やっても同じでした。なんで朝は自分のを買えたのか謎でしたが、私は内心ホッとして、
「ごめん、このカードなぜか使えなかった」
と伝えました。すると男はさらにヒートアップしてしまいました。
「そんなわけないよ!俺は君のクレカがないともう終わりだ!他の人になんて借りられないよ!」
「ごめんね(だろうね、普通誰もクレカ使わせてくれないよ)」
「このクレカが本当に使えないのか、有人窓口で俺が確認してくる。券売機が万が一混むと困るから、君はこの券売機の前で陣取って待ってて。そのカード貸して」
「いや、それは絶対に無理。私が行ってくる」
なぜかこんな流れになり、券売機から50メートルほど離れた窓口までどちらが行くか揉めた末に、男を待たせて私が行くことになりました。
しかし、急ぎ足で窓口に並んだ瞬間、すぐ後ろから声をかけられました。
「ここじゃない」
男が追いかけてきていたのです。これは恐怖でした。
「もっとあっちにあるんだ」
男は、券売機の位置からは角度的に全く見えない、遠くのほうを指差していました。私が並んだ窓口は”Información”って大きく書いてあったので、多分合っていたんですが、なぜか違うと言われ、なぜか券売機まで戻されました。
「俺が窓口に行ってくるから、カード貸して」
「それはさすがにできない」
「頼む!お前しかいないから!俺の荷物全てお前に預けて置いていくから!現金がたくさん入った財布も、携帯も、他の貴重品もリュックに入れてここに置いていくから!スーツケースも全部置いていくからお前が見てろ!絶対すぐ戻ってくるから!」
そんな風に半ば叫びながら、貴重品をわざわざ取り出して見せてきました。何度断っても、諦めるどころか余計に口調が強くなっていきました。そして、スーツケースとリュックを私の足元に置いてから、男は片手を出しました。
「カードを貸せ」
私はその男の恐怖にもう打ち勝てなくなって、ついに男にカードを手渡しました。男は荷物を全て置いたまま、窓口があると言い張る方向へ走り去っていき、ついに見えなくなりました。
券売機の前で取り残された私と、男の大きな荷物。
あの人、絶対に戻ってくるわけない。
よく考えればこの荷物だって、あとから自分か仲間が回収しに来ればいいし、そもそもクレカでしかチケットが買えないなんておかしな話。
それに券売機だってたいして混んでいないのに、私を強引にここに置いていく必要なんてなくて、一緒に行けばよかった。
男がいなくなって徐々に冷静になって、どう対処しようか考えをめぐらせました。同時に、なんて自分はバカで、怖がりで、こんな時までお人好しなんだろうと、本当に情けなくなりました。
あと5分戻ってこなかったらこの場を離れようと決めて、ギリギリまで、最後の1分まで待ちました。
とうとう来なかった…
と、その場から動こうとしたその時…!
あのゴツい男が、カードを手に、走って帰ってきたのです…!!!
泣きました。抑えられず、文字通り泣いていました。
「待たせてごめん。窓口で確認してもらったら、このカードはここでは使えないみたいだ。不安な気持ちにさせて本当にごめん」
「戻ってくると思わなかった。戻ってきてくれてありがとう。助けになれなくてごめん」
「そんなのいいんだ。助けてくれようとした君の気持ちがすごく嬉しいんだよ。本当に嬉しかったんだ」
そう言ってカードを返してくれた後、泣いている私を男は優しく抱きしめてくれました。
そして、
私の唇に直接、キスをしました。
「!?!?!?!?」
「本当にありがとう、君のこと大好きになった」
「おおぉぉ、ありがとう…(?)」
私はもう完全に混乱していました(笑)ひとしきりハグされて圧死しそうになった後、男は私を改札まで見送ってくれました。
「本当にありがとう。君は、彼氏はいるの?」
「ううん、いないよ」
「じゃあ日本に帰ったら、ご両親に伝えて。スペインで新しくボーイフレンドができたって」
無事にカードも取り返して、こんな素敵なジョークまでいただいたけど、不意のキスの衝撃とそれ以前のダメージも引きずって、感情ごっちゃごちゃのまま別れを告げることとなりました。
マドリードに着いてから、カード情報を控えられていたら嫌だなと思いカードはすぐ停止させたのですが、その後明細を見ると1円も使われてはいませんでした。
今振り返ると、あの男は本当に困っていたか、もしくは悪さしようとしていたけど私が無垢すぎて改心してしまったか、そのどちらかだろうなと思います(笑)
マドリードで友達と合流しモロッコへ
この旅の続きは、また別の記事で書こうと思います!
お楽しみに〜!
ちなみに、写真はマドリードに無事到着した私です(笑)
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